建築物は実は直角や垂直や水平に建っている訳ではありません。
もちろん限りなく直角、垂直、水平に近いのですが、実際にはほんの少しズレています。
今や設計図はほぼ全てがCADと呼ばれる製図ソフトを使ってパソコンでかかれています。
もちろんPC上では直角や垂直、水平は完璧にとれています。
現場では鉛筆や墨などで印をし、その印に合わせて材料を打ち付けたりしていく訳ですが
その時に、印は多少の太さがありますから、その太さ分の誤差が出てくる事になります。
その誤差が重なり、どうしても歪みが出てくるのです。
さらにマンションのリノベーションの場合は主に中古マンションですから、年月を経て徐々に建物が動いたり、地盤が動いたり、建物が劣化したりしながら、歪みは大きくなってきます。
これはもう現状の技術では仕方の無い事ですので、私たちは建物は歪んでいるという前提のもと工事をしていきます。
きっちりと直角、垂直、水平のとれたCADでかかれた設計図を歪んで傾いている建物にあてはめてゆくのです。
壁や床を作る際に箱の外側から測って作ってゆくと、内装も同じ様に歪んでしまいます。
そこで私たちは一番最初に「カネ、タチ、ロク」という線を区画の真ん中あたりに引きます。
墨出しという作業の最も重要な線になります。
その線が現場内での直角、垂直、水平の基準になります。誰が何と言おうとそれが基準です。
カネ・・・直角
タチ・・・垂直
ロク・・・水平
の事です。
特にロク墨はリノベーションにおいて非常に重要な線のため、絶対に必要です。
コンクリートの床から何センチ・・・と測るのではなく、このロク墨から何ミリ下がった所が床で、何ミリ上がった所が天井で・・・というふうに現場は作っています。
リノベーションの場合は排水管の位置に制約があるため、どうしても床を高くする必要がありますが、天井高も確保したいという相反する要求に答える為、床や天井に段差を付ける事が多くあります。その際にロク墨が無くては一貫したルールが無い中で何となく天高を決めるという、恐ろしい事が起こります。
床や天井の高さを変える様な大きなリノベーション工事の際は、現場でロク墨を見つけてみて下さい。その業者、ちゃんとやってます!
もし無かったら・・・・設計図とは違うものができるでしょう・・・。
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