老朽化した建物を元の状態に戻すのがリフォーム
建物が新築から住み続ける時間の経過と共に老朽化してきます。
壁紙が剥がれたり、床材が汚れたり、キッチンが痛んだり・・・
それを元の状態に戻すことをリフォームと呼んでいるそうです。
新築時が100点とすると、使用すると共に点数が90点、80・・・30、20と下がっていき、それをまた100点に可能な限り近づける工事の事をリフォームと呼んでいると言う事です。
価値を新築時よりも高めるための大規模な改修をするのがリノベーション
大きく間取りを変えたり、住み方自体を大幅に見直すと言う考え方をリノベーションと呼んでいるそうです。
新築時の100点の状態に戻す事を目的としているのではなく、違う文脈で新たな100点の住まいをゼロベースで作り上げましょうと言う事なのでしょう。
おそらくはこのブログを読んでいる方はそれなりに、調べていることと思いますし上記のことは知っているよと言う方がほとんどだと思います。
リフォームとリノベーションの違い
でも、新築で夫婦2人で購入したマンションで数年経って子供が生まれ大幅に間取りを変えたいと言うオーダーはリノベーションという概念が一般化する前から存在していたはずですし、あまりにダサいからもっとカッコよく間取りも家具も変えたいとか、版で押したような間取りのマンションが乱立していてどうしても生活スタイルに合わないからなんとかしたいとか、ウクレレを弾きながらビールを飲むためだけのスペースを作りたいと言ったオーダーはリフォームで対応できていなかったのでしょうか。
まぁおそらくはそんなことはなかったんだと思いますが、そう言った少し変わったオーダーに対応できる業者も少なかったんだろうと思います。
以前の記事でそもそもリノベーションって何なのさ?でも書きましたが、昔は好きな家に住むとか、自分好みにカスタマイズするなんて言っているのはオシャレに敏感な若者だけだったのかもしれませんが、いやもっと自由でいいのでは?と感じた人たちが自分たち好みにカスタマイズするという事を単なる家の模様替えの範囲を大きく超えてしまって、工事業者に依頼しなくてはならないレベルに達してしまったけれど、相変わらずリフォーム業者のおじさんは「このカタログの中から選べ」と言ってくるし、「違うんだ!もっとほらこういう少し錆びたコカコーラの看板をつけたいんだよ!!」っていうすごくストレスの溜まるやり取りの中から結果的にDIYでやり始めて、少しずつそれを専門的に扱う業者が出始めたという事なんじゃないかと考えています。
「自分の好きなように自由にカスタムすることが可能である」ということがリノベーションの最も重要なことなのだと考えています。
リフォームと言うメインストリームに対するカウンターカルチャーとしての立ち位置だったのだと思います。
リノベーション済み物件
あまりのリノベーションブームのために巷には「リノベーション済み物件」なるものが多く出回っています。
「ある個人が、個人的な欲求のためにカスタムメイドした住宅を何らかの理由で手放すことになった」ということがリノベーション済み物件として売りに出される事の面白さですし、本来の価値なのだと思います。
そういった変わった物件に焦点を絞って扱っていたのが東京R不動産というサイトで、これが出てきたときは本当にビックリしましたし、興奮したのを今もよく覚えています。
しかし、今出回っている多くが単なるコピーライティングとしてのリノベーションになっているように感じます。
作り手、売り手の論理で作られた住宅に不満を持った人たちから生まれたリノベーションという概念は、それをも大きな企業の力によって「リノベーション済み物件」という名前の商品として作り手、売り手の論理によってつまらないメインストリームに仕立て上げられている気がしてなりません。
深夜のテレビ番組がゴールデンに移動してつまらなくなるといった事と同様のことが起きているのかもしれません。
決して無垢のフローリングを貼っていることがリノベーションの条件なわけではありませんし、壁が塗装であることが条件なわけでもありません。
自分たちの好みや生活スタイルに適した空間をどれほど自由に追い求めることができるのかということが、リノベーションの一番の魅力なんだと思います。
最近「リノベーション済み物件」を購入してリノベーションするという依頼が増えています。
立地などは魅力的だけれど、「リノベーション済み物件」の魅力の無さに気づいてしまった人たちが少なからず居るというのは事実でしょう。弊社のような小さな工務店に依頼があるくらいですから、結構な数がいるのではないでしょうか。
ということは最初からリノベーションせずに売ってもらえた方が随分とお得な気がします。。。
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